kakikenの部屋

BADASS WRITERの戯言

祝完走! 朝ドラ『カムカムエヴリバディ』成功の理由

kakikenです。

 

いや~久しぶりに辟易せず朝ドラを最終回まで見ることができた。

カムカムエヴリバディ。

今までの大半の朝ドラは最初だけで中盤必ず失速、息切れし、最後の方は惰性ダラダラというものが多かった。

前作の「おかえりモネ」も酷かった。

あれは東日本大震災から10年というテーマが先行していた。中盤からドラマが全然つまらなかった。ヒロインがうざく感じた。きれいごと、偽善的、良い人ばかり登場して全然つまらなかった。その前の「おちょやん」もしかり。

再放送している一昔前の朝ドラも大概そうで最近まで放送していた「マー姉ちゃん」も後半の失速ぶりはあきれるばかりだった。

ハッキリ言ってネタ切れ。

以前近年失速しなかった朝ドラは「ひよっこ」だけと書いたが、今回の「カムカム」も「ひよっこ」に似た雰囲気があった。

まあ完走した安直な理由としては母娘3代のドラマだったこと。

つまりヒロイン3人のドラマ、3倍濃縮だったこと。

3人分だから描くドラマもネタ切れにならない。

だから中だるみもなく、テンポよく話が進んでいった。視聴者の興味が尽きることなく最後までもっていけた。

前作「モネ」はテーマありきでそもそも薄い内容だった。それを半年も描くわけだから薄味で不味い駄作になったのだ。

こうして考えるとヒロイン一人なら3分の1の期間、通常半年だから2か月で完結されれば息切れせず完走する朝ドラが多くなるのではないか?

 

もちろんそれだけが理由ではない。

ひよっこ」の評価の時も指摘したが、今回の作者は筆力があった。

ヒロインの描き方もだけど、脇のキャラの描き方も今回は上手かった。

私も作家の端くれだからある程度セリフ、物語の展開が読める。

しかし今回の作者は「ほう、そう来ますか」と感心することが多かった。

前作との大きな違いは「モネ」は偽善的でキャラにリアリティがなかった。

しかし「カムカム」はリアリティがあった。

例えば錠一郎をコンテストで優勝して東京進出するもトランぺッターとして成功せず挫折したこと。

ひなたと五十嵐の関係でも、五十嵐が映画出演するまでいくも役者として成功せず、さらに二人が結婚できなかったこと。

この作者、ヒロインに試練を与え続けた。

だからこそ、ヒロインに感情移入させて、感動させる。

ドラマ作りの基本なんだけど、この基本がいかに難しいことか。

それが出来た「カムカム」が成功したのは当然なのかもしれない。

朝ドラの最終週は今までの登場人物の同窓会的な要素が強いけど、駄作だと内輪で盛り上がっているだけで視聴者は白けるのだけど、面白い作品は視聴者を余韻に浸らせる。「カムカム」の場合は後者だった。

 

最近の映画やドラマはポリコレとかジェンダーとか余計なものに気を遣うため、くだらない作品が多いけど「カムカム」にはそういう影響があったかもしれないけど気にならない良作であった。

久しぶりに最後まで息切れせず完走した朝ドラ『カムカムエヴリバディ』を讃えたい。